Somewhere in the world

感じたこと、みたもの、聴いたものをつらつらと書いていくブログ

5月 よかった映画まとめ

5月に観て個人的よかった映画まとめ。5月もおもしろい映画に出会えました。

順番に特に意味はないです。

 

1. エル・スール(1982)

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1957年、秋。ある朝、少女エストレリャは目覚めると、枕の下に父アウグスティンの振り子を見つける。エストレリャは父が死んだことを悟り、彼女は父と過ごした幼少期を回想する 

 

ミツバチのささやき」のヴィクトル・エリセ監督の作品。こちらもスペイン内戦の時代のお話。

「エル・スール」では父の死を悟ったエストレリャが振り子を持ちながら静かに涙を流すのですが、冒頭からしてその美しさでもう心を掴まれる。子どものときには気づかなかった親の面にも成長した15歳でだんだん知っていく、という少女の過程が説明過多になりすぎず丁寧にゆっくりと描いていてとても美しい映画でした。

 

2. 君の名前で僕を呼んで(2017)

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1983年の夏、北イタリアの避暑地で家族と夏を過ごす17歳のエリオは、大学教授の父が招いた24歳の大学院生オリヴァーと出会う 

 

どれだけ今年この映画を心待ちにしていたか。原書を購入し、読み終わってから映画館へ行きました。

期待通りとてもよかった。イタリアの夏が光と緑で一層輝き、二人の恋も瑞々しく描かれている。音楽と映像と、スクリーンからの夏のにおいを全身に感じながらこんなに「この映画が終わらないでほしい」って思ったのはたぶん今年初めて。お父さんの言葉がかなり良くて、目の前にいる人と全身全霊で向き合って愛を捧げたい気持ちになった。今年ベスト級ですき。

 

3. イレイザーヘッド(1976)

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印刷屋で働く主人公の彼女が妊娠してしまい、その日から主人公は悪夢にうなされるようになる  

 

いや、まず「お前が産むわけでもないのに悪夢見てる場合違うぞ?!」と思うのですがやっぱり私は意味不明なリンチワールドが大好き・・・生まれてくる赤ちゃんがクッソキモいし(リンチが赤ちゃんは何を使ったのか頑なに言わないのも怖い)、不気味な歌も気持ち悪いんだけど鑑賞後もなぜかクセになってYoutubeで何回か聴いた。

とにかく最初から最後まで意味不明で、ストーリーというより映像表現を楽しむ映画。

ストーリーに関しては若いリンチが主人公と同じく彼女を妊娠させ、「うわ~どうしよ~」となった体験がベースになっていると思いますが・・・

”気持ち悪いけどなんか好き”な映画。

 

4. 夏の遊び(1951)

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バレリーナのマリーのもとに古い日記が届き、マリーは夏の間に出会った大学生のヘンリックとの日々を回想する

 

ベルイマンといえば作品のテーマが「神の沈黙」がほとんどですが、ベルイマン観たいけどなんか難しそうと感じている人におすすめの作品です。

これも「神の沈黙」がテーマであることは間違いないのですが、神は沈黙したからそこからどう現実と向き合っていくのか?というのもテーマだと思います。

とにかくマリーとヘンリックのイチャイチャがたまらん。ヘンリックがマリーを見つめる視線は本当に愛しそうだし、暗い小屋でランプをつけてヘンリックがマリーに絵を描いて楽しませるのもかわいい。

映像に関しても白黒なのに海の水面がキラキラと色がついているように光っていて、北欧の夏の美しさが表現されています。ゴダールはこの映画を「最も美しい映画」と評し、ベルイマン自身もお気に入りとしています。ベルイマン生誕100年特集でも上映されるみたいなので今度はスクリーンで観たい。

 

5. ブリキの太鼓(1979)

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3歳のオスカルは美しい母を囲む男性たちの醜い姿を見て、自ら階段から落ち成長を止めようとする。 

 

体調が悪いときにこの映画を観てマジで後悔した。特に馬の首?からウナギがにょろにょろ出てくるシーンが強烈で、ちょっとしばらくはウナギ食べれそうにない・・・

とにかくこのオスカルは映画において全然可愛くないし、体は3歳なのにだんだん歳をとってませていく演技はすごかった。

オスカルはブリキの太鼓を手離さない。ヒトラーが鼓笛隊の演奏のなか演説をしているときに、オスカルが太鼓をたたいてリズムを崩し、演奏が乱れてみんな踊りだすシーンは笑える。戦争を続ける大人たち、セックスに耽る大人たちを子供の目を通して皮肉的に描かれている作品。不道徳で悪趣味な映画が好きな人にはおすすめ。

 

6. ジプシーのとき(1989)

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貧しいジプシーとして生まれたベルハンは優しい祖母と足の悪い妹、ろくでなしの叔父と暮らす。妹の足を治すため、ベルハンは愛するアズラをおいて村一番の金持ちのアーメドと稼ぎにいく 

 

クリストリッツァの「アンダーグラウンド」「黒猫・白猫」と並ぶくらいこちらも傑作でした。

アンダーグラウンド」と同じく、本作品も泥臭く裏で必死に生きる者たちが主人公。そうした世界で生きるベルハンは自分の人生に意味はあるのだろうかと問う。ベルハンは純粋な青年で人を愛し、人を信じる。別れの時におばあちゃんが手を振っていて、子供たちが追ってくる様子を涙しながら車の後部座席から眺めるシーンにわたしもちょっと泣きそうになる。アコーディオンの音色と幻想的な夢の世界もとても美しい。

”人生は蜃気楼だ”